2025年7月29日火曜日

AI導入の強化:インテリジェントラックPDUを選定する際の重要な基準

データセンターは今、大きな転換期を迎えており、従来型のラックPDU(配電ユニット)ではその変化に対応しきれなくなっています。中でも懸念されているのが、電力需要の大幅な増加です。ほんの数年前までは、データセンターの消費電力は5〜10メガワットでしたが、現在では50メガワット規模の施設が標準になりつつあります。データセンターがこの前例のない変化に対応するためには、電力とエネルギー使用量を効果的に制御できる、インテリジェントな大容量PDUが不可欠です。

ラックPDUの従来の役割は、供給された電力をラック内のIT機器に分配することでしたが、現在その役割は進化しています。最新のPDUは、配電だけでなく、電力の制御や電力品質計測、電源の冗長性の確保、さらに効率とアップタイムの追跡も可能です。こうした進化の背景にはさまざまな要因がありますが、特に影響が大きかったのが、人工知能(AI)の普及とそれに伴う消費電力の増加です。

AIインフラは、従来のITインフラと比べてはるかに多くの電力を必要とし、NVIDIAのDGX H100サーバー1台で最大10kWの電力を消費します。ここ数年で、データセンターのラック単位の消費電力は10kW~15kWから50kW以上へと増加しています。

そのため、データセンター事業者は、高アンペアに対応しているだけでなく、新たな機能を備えたPDUを求めています。環境モニタリング機能があり、PDUのインレットとアウトレットで電力品質を計測でき、インフラ全体の効率性を向上させるネットワーク対応型PDUが必要とされているのです。従来のラックPDUにはこうした機能がないため、AIワークロードに対応した次世代のインテリジェントPDUの導入がデータセンター事業者の間で進んでいます。配電、モニタリング、制御、そして電力品質管理を適切に行えない場合、ダウンタイムのリスクが非常に高くなります。

AIインフラへの電力供給を支えるラックPDUの選定基準

AIインフラに電力を供給するPDUを選定する際には、導入を成功させるために、以下に挙げる主要な機能や性能を理解しておくことが重要です。

  • AI向けに設計:AIインフラでは、PDUやケーブル、冷却ユニットなど追加のハードウェアをラック内に設置する必要があり、これらはいずれもエアフローの妨げになる可能性があります。AIインフラ向けに設計されたPDUは、高密度環境に対応できるようになっており、大きな負荷に耐えられるほか、インテリジェントな計測機能も備えています。
  • 冗長性の強化:アウトレット単位で電力をモニタリングできるPDUは、電力系統内の潜在的な問題を特定し、冗長性を検証するとともに、各サーバーの電源からの詳細な計測値を提供することで、より効率的な負荷分散を可能にします。
  • フォームファクタ:0Uの縦型ユニットや1U~3Uの横型ユニットなど、PDUの機能性とフォームファクタが、さまざまな物理インフラに適合するか確認することが重要です。
  • リモート監視:電力使用量や温度などの重要なパラメータを監視する機能により、管理チームの指揮統制能力が向上します。
  • カスタマイズ可能な構成:さまざまなアウトレットタイプや配電オプションに対応することで、汎用性と柔軟性が向上します。
  • インテリジェンス:電源シーケンス制御や負荷分散などの機能により、配電を最適化しながら過負荷を自動的に防止できます。
  • 効率:多くのデータセンターは限られた電力枠内での運用に努めており、電力利用効率が重要な指標となっています。高度な電力品質計測と各種指標により、キャビネット内の重要な電力品質、エネルギー効率、機器の健全性について、リアルタイムのインサイトが得られます。
  • セキュリティ:電力計測・管理機能はサイバー攻撃の標的となる可能性があります。優れたPDUは、データの暗号化、ユーザーの認証と管理、ファイアウォールによる保護といった包括的なセキュリティ機能を備えています。

 

LegrandがAIの需要に応える方法

Legrandでは、AIインフラを支えるPDUの提供に取り組んでいます。RaritanブランドとServer Technologyブランドのもと、縦型(ゼロRU)と横型(ラックマウント)のフォームファクタをはじめとする幅広いラックPDUを取り揃えており、さまざまな物理インフラに対応しています。インテリジェンスのレベルは、ベーシック機能、ネットワーク対応計測機能、ネットワーク対応スイッチ機能の3つが用意されています。

カラーLCD管理パネル、内蔵フェイルオーバー電源、サーキットブレーカーのトリップ警告機能、リモートアクセスと制御、セキュリティ管理機能などを特徴とする当社のインテリジェントPDUは、温度、振動、湿度といった環境条件や、近接・動作などのセキュリティ要素に関するセンサーデータも取得します。当社は、環境要件、浸水検知、セキュリティ、そして運用管理の効率化とミッションクリティカルなIT資産の保護を容易にするセンサーハブなど、環境モニタリングを目的としたSmartSensors製品群をご用意しています。

AIの導入が加速する中、最先端の高度なPDUは、データセンターがさらなる大容量化へと大きく踏み出すのを支え、将来にわたってその重要性と機能性を維持するのに役立ちます。

インテリジェントラックPDUと機能の詳細については、www.raritan.com/jp/PX4をご覧ください。

0 件のコメント:

コメントを投稿