2023年4月18日火曜日

データセンターが総合的な環境監視を今まさに必要としている理由

※本記事は、2023年2月8日にW.Media onlineで掲載されたインタビュー記事の翻訳です。


いずれのデータセンターも、コンピューティングとストレージリソースがネットワークに繋がっているため、各装置の環境に関する測定値をすべて監視することが非常に重要です。 

これにより、何か問題が発生した場合、技術チームやシステムが即座に予防策を講じることができます。データセンターにおける環境監視は、データセンターやITラボの健全性を維持するための鍵です。今日では、温度、湿度、気流、空気差圧、水漏れ、接点開閉を監視・管理するために、多種多様なセンサーが使用されています。

ルグランのデータセンターソリューション、アジア太平洋担当副社長のサンジェイ・モトワニは次のように語ります。

「ルグランが提供する環境センサーは、キャビネットのドアが開いていることをデータセンター管理者に通知したり、2つの計測地点の気圧差を正確に算出したり、水漏れの発生を明らかにします。適切に設計された環境監視は、データセンターの一貫した効率的な運用を行うために必要な環境を維持し続ける事に寄与するでしょう」

データセンターにとって有用な監視ツールの使用する際に、監視対象となるいくつかの環境情報を以下に挙げます。

温度
無停止で稼働することが要求されるデータセンターにおいて、オーバーヒートや冷却不良は、データセンターのサーバーにとって主要なリスクの1つであり、(データセンターの)運用を損なう可能性があります。装置が推奨温度の範囲内で作動しているかどうか確認するため、温度監視が必要です。

温度監視の包括的な手法では、多くの温度センサーを使用します。センサーは、全体の温度を読み取れるよう、戦略的に配置されます。温度を監視していれば、データセンターが冷房に不必要なお金を費やすのを防止できます。

湿度
湿度監視は、温度との関係性を考慮して運用される必要があります。データセンターで湿度を測定するときには、同様に温度も監視する必要があります。双方の監視は相補的なものです。

湿度管理がなされていない場合、サーバーやその他のハードウェアが腐食する可能性があります。一方で低すぎる湿度は静電気の発生を引き起こし、電子機器を壊しかねません。したがって、気流の監視が不可欠となります。冷却ファンを監視することで、適切な気流を確実にデータセンター全体に送ることができます。それができない環境では、不必要な湿気による温度のムラが生じることになるでしょう。

気流を測定するセンサーも環境監視には有効です。気流の異常を検出することによって、不要な温度上昇を未然に防ぐことに寄与するでしょう。

また、環境センサーを設置する場所も重要な要素で、「センサーの設置単位は、部屋レベル、島(ラック列)レベル、ラック単体レベルがありますが、推奨はラック単体レベルです。そのうえで、ラックの上、中、下の3箇所にセンサーを設置してください。今現在、この理想的な環境監視手法を選んでいる管理者は、まだ少数派かもしれません」とモトワニ氏は解説しました。

電力
突発的な静電気は、データセンター運用の重大な危機に繋がりかねません。不安定な電圧は、データセンターのパフォーマンスを低下させます。データセンターの安定した運用のために無停電電源を確保することは非常に重要で、電源の安定供給は電気的な故障を抑制します。

電源監視は、突発的な電気に関する問題を抑制します。電力監視デバイスは、不規則な電気の流れを見つけることができ、停電や設備の損傷のリスクを下げ、電力消費の監視にも役立ちます。


データセンター環境監視のメリット
測定できないものを管理することはできません。データセンター管理者は、環境情報を監視することにより、さまざまな方法で現在の運用を改善するための検討ができます。

コスト削減
冷却コストは、データセンター管理者にとって最大の懸念の1つです。データセンターで使われる電力のほぼ半分が、設備の冷却のために費やされていると推測されます。データセンターの温度を監視していれば、過冷却を防ぐために温度を上げるべきタイミングを効果的に決定できます。環境センサーの使用によって運営コストを削減し、設備投資を先へ延ばし、将来的な設備拡張に備えることができます。

アップタイムの改善
アップタイムはデータセンター専門家にとって最大優先事項であり、設備の故障はダウンタイムの主要な原因の2つです。データセンターは、過冷却、静電気放電、腐食、短絡など、貴重なIT機器への脅威を防ぐために、環境監視を必要とします。

問題を事前に特定
環境監視は、問題が起こる前に先回りするための鍵です。データセンターインフラ管理ソリューションは、センサーから収集したデータに対して環境閾値を設定し、リアルタイムにアラートを受け取ることができます。水や煙、キャビネットの扉が開いている状態を把握し、問題が起こる前に対処しましょう。

エネルギー効率の維持
温度、湿度、気流、他のすべての条件を監視し、適切な状態に保つことができれば、データセンターはエネルギーコストを節約できます。また、設備を保護し、その寿命を延ばすこともできます。

実用的な環境情報を得る
温度、湿度、接点閉鎖、水洩れ検出、煙、気圧、気流などの環境センサーからのデータを、設定不要のダッシュボードとレポートでリアルタイムに分析できます。監視ツールはインテリジェント監視により、データセンターの健全性を維持します。

結論として、環境監視はデータセンターにおけるラックインフラのパフォーマンスのみに留まる問題ではありません。多くの場合、温度と冷却は、別の課題として切り離して考えられます。「データセンター管理者は、電力や冷却などの最適化という考え方から抜け出して、全体的なパフォーマンスを総合的に考える必要があります。それは単なる監視から一歩先に進むことです。電力測定ツールと併せてセンサーを利用すれば、インフラの最適化に大いに役立ちます。」とモトワニ氏は述べています。

環境監視は、データセンター運用の要件の一つに過ぎません。それを検討材料の一つとし、より総合的な視点で課題を捉える事が、今まさに必要とされているものです。

ルグランデータセンターソリューションについての詳細はこちらをご覧ください。www.raritan.com/jp

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