2021年6月9日水曜日

エッジデータセンターが未来の姿?

エンタープライズ、通信事業者、クラウドサービスプロバイダーは、ストリーミングビデオや工場の自動化、遠隔医療などのアプリケーションを高速化し、自動運転車やAR/VR(拡張現実)といった新技術を実現するために、今後数年間でエッジデータセンターへの投資を加速していくでしょう。 

プライスウォーターハウスクーパース(PwC)社は、エッジデータセンターの世界市場は、2017年の40億ドルから2024年には135億ドルと、3倍以上に拡大すると予測しています。  

エッジデータセンターとはネットワークの端(エッジ)に位置し、ユーザーやデバイスに近い場所にある小型データセンターです。エッジに処理能力を配置することで、企業はデータを処理するために遠隔地のデータセンターにデータを移動させる必要がなくなるため、より高速なパフォーマンスと低いレイテンシーを実現できます。    

アクセンチュア社によると、例えば自動車のシートを製造する工場では、データと処理能力をエッジに置くことで、ビジュアル分析アルゴリズムを使用してリアルタイムに欠陥を検出できます。   

データセンター・フロンティアの記事によると、AIや工場の自動化以外にも、エッジコンピューティングの代表的なユースケースとして、以下のようなものが挙げられています。   

  • コンテンツ配信。ビデオストリーミングはかつてないほど人気があり、今やコンテンツ配信ネットワークは、より大きな4Kビデオを処理する必要があります。エッジデータセンターを利用することで、消費者に高速で高品質な映像を届けることができるだけでなく、ストリーミングサービスがますます独自のコンテンツを配信する傾向がある中、エッジデータセンターを利用することで、映画やテレビの制作スタッフが「デイリー」と呼ばれる編集前の生の映像を毎日スタジオに送ることができるようになります。  
  • ゲーム。ビデオゲームとeSportsは、低レイテンシ接続を必要とする消費者向けユースケースとして、おそらく最も急速に成長しているものです。  
  • 5Gや4Gのインフラ。モバイルキャリアは、5Gネットワークに莫大な投資を行う一方で、既存の4Gネットワークは、新しいサービスや既存のアプリケーションに対する需要増に直面しています。エッジデータセンターは、これらの5Gや4Gのサービスやアプリケーションに優れた顧客体験を保証します。  
  • 遠隔地医療。 パンデミックの影響で、バーチャルドクターの導入が加速しました。しかし、ヘルスケア業界が遠隔医療サービスを向上させる為には、医療用画像を統合するためのローカルインフラが必要になります。  
  • 自動運転。自動運転車は、エッジに大規模な処理能力を必要とし、1時間に最大5TBのデータを生成する可能性があります。     

エンタープライズと通信事業者がエッジデータセンターの成長を牽引    

Data Center Knowledgeの最新記事によると、現在エッジデータセンターを最も推進しているのは、エンタープライズと通信会社です。一方、クラウドサービスプロバイダーは既にエッジに進出しており、その存在感を高め続けています。      

エンタープライズの場合、エッジデータセンターを最も推進しているのは産業オートメーションであり、スマートマニュファクチャリングを実現する為にIoTを利用していますが、ヘルスケアや小売業にも利用されていると当記事では述べています。    

Omdia社のアナリストであるクリフ・グロスナーはData Center Knowledgeの取材に対し、「エンタープライズは工場の床や小売店の支店等、自社の敷地内にエッジコンピューティングのインフラを展開していますが、地元や地域のコロケーションデータセンターにもまた依存しています」と述べています。    

現在通信事業者にとって、エッジ導入の最大の推進力となっているのは、コンテンツ配信ネットワークの容量とネットワーク機能の仮想化です。 自動運転車やAR/VRなどの次世代アプリケーションに対するエッジデータセンターの利用はまだ始まったばかりです。今後、通信事業者は自動運転車の通信、AR/VR、さらにはビデオコンテンツの配信やゲームなどの新たな収益源を追求する為に、エッジデータセンターへの投資を増やしていくことが予想されます。   

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